昨日目に飛び込んできたニュースがこれだ!
GoTo利用者は「発症」2倍 トラベルで東大チームが初調査
政府の観光支援事業「Go To トラベル」の利用者の方が、利用しなかった人よりも多く新型コロナ感染を疑わせる症状を経験したとの調査結果を東大などの研究チームが7日、公表した。PCR検査による確定診断とは異なるが、嗅覚・味覚の異常などを訴えた人の割合は統計学上、2倍もの差があり、利用者ほど感染リスクが高いと結論付けた。
研究チームによると、GoTo事業と感染リスクの関係を示す調査は国内で初めて。政府は8日に事業延長を盛り込んだ追加経済対策を閣議決定するが、継続の是非が改めて問われそうだ。
調査は約2万8千人を対象に、8月末から9月末にネット上で実施した。
Twitterはトレンド入りしてそら見たことかと
様々な政治家をはじめとするユーザーが話題にしていたので
調べてみました。
そもそも情報のソースはどこだ?
ニュースサイトでは取り上げているもののソースも張ってないし
まず誰の論文かすら記載されていなかった為探すまでに意外と時間がかかった。
津川友介さんという方が書かれたようです。
日本ではGoToトラベルが新型コロナの感染拡大に寄与しているかと議論されています。私達の研究結果*によると、GoToトラベルの利用者は、新型コロナ感染を疑わせる症状をより多く経験していました。*未査読論文@AMiyawaki38 @TakahiroTabuchi https://t.co/sfBzlMH3fVhttps://t.co/UHtoIQbZKH
— 津川 友介 (@yusuke_tsugawa) December 6, 2020
経歴を見ると、UCLA助教授(医師)、日本医療政策機構理事。ハーバード大学PhDという
何とも華やかな経歴
そして取り上げられているのはどうやらこの方のブログ
Go Toトラベル利用者の方が、新型コロナウイルス感染症を示唆する症状をより多く経験していることが明らかに
https://healthpolicyhealthecon.com/2020/12/06/go-to-travel-and-covid19/
そしてこのブログの元になっている論文の元ネタはこちら
Association between Participation in Government Subsidy Program for Domestic Travel and Symptoms Indicative of COVID-19 Infection
(国内旅行補助金事業参加と新型コロナ感染を示す症状の関連)
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.12.03.20243352v2
調査方法
- 調査方法:インターネット調査
- 期間:2020年8月25日から9月30日(東京除外は10月1日から)
- 回答:25,482人(男女比ほぼ半々) 平均年齢48.4歳(標準偏差17.4
うちGoTo参加者:3,289(12.9%)
GoToトラベルの利用経験(過去1~2ヶ月以内の利用有無)
過去1ヶ月以内に新型コロナを示唆する症状(発熱・咽頭痛・咳・頭痛・味覚嗅覚異常)を経験していた人の割合の調査
いきなりオチでもいいですか…?
いきなりオチを書いてもいいですか?
ブログの中盤にこんな記載がありまして…
本研究の限界点
本研究の限界としては、
① Go To トラベルの利用が直接的に新型コロナ症状の増加につながったという因果関係は断定できない② Go To トラベルの利用と新型コロナ症状の発生率との間の時系列的関係が不明
③ 新型コロナ症状を持つ人が、必ずしも新型コロナに感染しているわけではない
④ 新型コロナ症状を持つ人が、その原因としてGo To トラベルの利用を思い出しやすい可能性(思い出しバイアス)等が挙げられます。
また記事の冒頭にも
※本論文はプレプリントであり、著者ら以外の専門家からの科学的検討(査読)はまだ受けておりません。しかし、政策上重要なテーマであるため、速報性を重視するために公開しております。
と記載があります。
この論文があいまいなデータを元にで出来ていることがわかります。つまり確実な結果から基づいているものではなくあくまで想像の範囲に近いものです。
はい解散!!
でもいいんですが…
オチは書いてしまいましたが一応ツッコミどころも書いてみます。
ツッコミどころ
①インターネットでのアンケート結果である
2万人にアンケートを取って新型コロナっぽい症状になりましたか?と聞いたところで実際にPCR検査をしているわけでもなく。あくまで新型コロナ「疑い」という不確実な情報を元に結論付けている為、そもそもコロナ患者かどうかすらわかりません。
②GoTo利用経験と新型コロナ症状の時期の関連
調査方法にはGoTo利用経験で過去1~2ヶ月の利用の有無と過去1ヶ月以内に新型コロナを示唆する症状があったかを調べています。
調査機関が9月末までだったので、
例えばこんな人も新型コロナ扱いになってしまうのでは…
【Aさん】
- アンケート回答日:9月30日
- GoToトラベル利用:7月30日(過去2ヶ月以内にGoTo利用があった)
- 新型コロナ症状があった時期:9月15日(過去1ヶ月以内に新型コロナ症状があった)
この例は極端ですが、通常新型コロナ発症までは2週間と言われています。記載されている調査方法だとこういった人も含まれているのではないかと思ってしまいました。
実際のところちゃんとその辺計算してるのかもしれませんが論文やブログを見る限りでは記載がありませんでした。
③発症2倍とは…
1ヶ月以内の…
GoTo参加あり | なし | |
発熱 | 4.8% | 3.7% |
咽頭痛 | 20% | 11.3% |
咳 | 19.2% | 11.2% |
頭痛 | 29.4% | 25.5% |
味覚 嗅覚 異常 |
2.6% | 1.7% |
GoToに参加した人は100人のうち5人が発熱しました!
GoToに参加しない人は100人のうち4人が発熱しました!
……。
そしてニュースになっている2倍という数値は味覚・嗅覚異常の数値らしいですね。(2倍とは…?)
個人的な感想
GoToを叩いてアクセス数を稼ぎたいメディアにうまい事利用されちゃった論文
という印象です。
そもそも筆者のツイートやブログを見るとこういった調査を用いて政策立案に研究を生かしてほしいというような思いがあるようです。研究方法や結果には素人目にも疑問が残るところが多いです。
ですが、新型コロナの研究が進むことは今後の為に必要な事でもあると思っています。
ただ、こういったフェイクニュースまがいのタイトルでGoToは悪!という印象をかなりの人に与えてしまいました。人々の不安を煽るような形でアクセス数を稼げる記事を書いたり、センセーショナルなタイトルを付けてソースを付けないなど、コロナ禍に入ってからのメディアのなりふり構わなさには辟易します。
こういった印象が強く残り話題になるような記事は必ず一次ソース(情報元)を見る事を強くお勧めします。
ニュース記事になった場合はそこに必ず誰かの意思が絡みます。書き手の利益やサイト運営者の思惑などを意識しながら一歩下がった距離で冷静に見ましょう。(何の話だ?)
私も実は皆さんを扇動しているかもしれませんよフフフ
それにしてもこういったキャンペーンに悪印象を付けて経済停滞させたら広告付かなくなって困るのは自分達だと思うんですけどね…。
GoToトラベルが始まって以来宿泊施設の運営者の方々のツイートを見ていると掃除の時間は何倍もかけて、コロコロ変わるGoToトラベルの対応に追われ、お客さんから怒鳴られ、それでもお客様の為に精いっぱいおもてなしをしようと頑張っている方々がたくさんいます。
近場でもいいところはたくさんあるはずですので是非感染対策を万全にして旅行を楽しんでほしいですね。
という訳で今回はGoTo利用でコロナ発症は2倍になるのかを調べてみた。でした!